気候が暖かくなってくると同時に、世間で増えてくるのが食中毒。
特に細菌性の食中毒は、温度が高い状態で長時間放置することで、食物の内外で細菌が増殖するため、これからの季節に発生しやすくなります。
カンピロバクタもその一種で、コドモの食中毒の原因菌のトップ3に常にランクインします。
では解説していきましょう!
どんな病気?
カンピロバクタという細菌は、自然界では鳥や牛、その他のペットなど多くの動物が腸管内に保菌していると言われています。
カンピロバクター属は、17菌種6亜種3生物型(2005年現在)に分類されていますが、このうち、カンピロバクター・ジェジュニとカンピロバクター・コリが食中毒患者から分離される菌種の多くを占めています。
カンピロバクタ腸炎になりやすい食品としては、
- 鶏レバーやササミなどの刺身
- 鶏肉のタタキ
- 鶏わさなどの半生製品
- 加熱不足の調理品(唐揚げなど)
が多いという調査結果があります。
実際どのくらいの鶏肉がカンピロバクタに汚染されているかというと、60〜70%という驚きの調査結果が出ています。
汚染された鶏肉を加熱が不十分なまま食べると、数日の潜伏期(1〜7日)を経て、下痢、血便、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感などの症状が現れます。
どうやって診断するの?
上記のような症状のうち、発熱・腹痛・血便が見られたら、食中毒を強く疑います。
食中毒を疑ったら、数日前にさかのぼって「食べたもの」について聞き取りを行い、加熱不十分な鶏料理を食べていないか、家族や仲間うちで同じような症状が出ている人がいないかを確認します。
身体所見としては、右下腹部の痛みが出ることが多いので、診察を丁寧にすることでさらに診断精度を上げることができます。
実際にカンピロバクタに感染しているかは、便のバイキン検査(便培養検査)を行うことで確定することができますが、結果が出るのは早くとも4〜5日かかるので、培養検査はせずに推定で治療に入ることも多いです。
治療は?
多くは整腸剤などの対症療法で自然に治癒します。
腹痛や下痢などの症状が強く、全身常態が悪化する場合には、マクロライド系の抗菌薬(クラリスロマイシン・アジスロマイシンなど)を使用することもあります。
この病気は治療よりも予防が重要です。
カンピロバクタの予防は、とにかく加熱することです。
肉の中心温度を75℃で1分以上加熱することで、食中毒のリスクを避けることができます。
ホームケアのポイント
鶏肉は火を通しすぎるとパサパサになってしまうので、火加減が実は難しい食材です。
専門店の大きなゴロっとした唐揚げなどは美味しいものですが、ご家庭で揚げる時には小さめにして内部までしっかり火が通るようにした方がよいでしょう。
また、焼き鳥屋さんなんかも、美味しいお店ほど「外はパリッと中はジューシー」な焼き鳥を出してくれますが、食中毒という観点では少し気をつけなければならないかもしれません。
大人は胃酸の酸度が高いので、多少の細菌は殺菌できる可能性はありますが、小さいコドモさんは胃酸が強くないので食中毒には弱い存在だと言えます。
小さいお子さんと一緒に焼き鳥店に行く時は、オーダーするときに「しっかり焼いてください」とお店の人に伝えるのも良いかもしれません。
ここまで書くとご理解いただけると思いますが、生の鶏肉やレバー、鶏肉のタタキなどはお子さんには絶対に食べさせないようにしましょう。
もちろん大人も細菌学的にはやめておいた方が無難です。
なにせ鶏肉の60〜70%にカンピロバクタが付いているのですから。
とにかく、鶏肉は火をしっかりと押しましょう。
大人は多少当たっても自己責任というところがありますが、小さなコドモは大人が与えてくれたものは安全だと思って何も知らずに食べてしまいます。
この病気、ちゃんと大人が知識を持つ事でコドモを守ってあげられる病気です。
ママ・パパ、よろしくお願いしますね。
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