変わった名前ですが、5歳以下のコドモたち(特に男子)に多い病気です。
一言で言えば、「風邪症状もないのに定期的に熱が出る」という病気で、自己炎症性疾患という免疫のトラブルが原因の病気とされています。
どんな病気?
PFAPAというのは、症状の頭文字をつなげた造語で、正式名称は
Syndrome of Periodic Fever, Aphthous stomatitis, Pharyngitis, and Adenitis
です。
ちょっとワケわかんないんですけど(サンドイッチマン風)
、、、はい。ですよね😅
わかりやすく日本語に訳すと
- Periodic Fever:周期性発熱
- Aphthous stomatitis:アフタ性口内炎
- Pharyngitis:咽頭炎
- Adenitis:リンパ節炎(頸部が多い)
ということになります。
1番目の「周期性発熱」というのが結構ミソで、かなり正確な周期で発熱発作がやってきます。
しかも熱は高熱で、個人差はありますが3〜7日間続きます。
熱と咽頭痛(のどの痛み)がメインで、咳や鼻水などの風邪症状は基本的には見られません。
どうやって診断するの?
多くの患者さんは共通して
- 「この子、よく熱を出すんです」
- 「でも咳とか鼻はほとんどないんです」
- 「毎月熱だすので、預けて仕事にいけない」
- 「いつも扁桃炎と言われて抗生物質をもらうけど、効いている気がしない」
というような悩みを訴えて受診されます。
で、よくよく聞いてみると、あるいはクリニックにその都度受診されている患者さんであればカルテを振り返ってみると、熱がほぼ一定の間隔で出ていたりします。
原因はわかっていません。
遺伝子異常など色々と検討されていますが、決定的な原因はまだ見つかっていないのが現状です。
血液検査では、白血球やCRPなどの炎症反応が上がります。一見細菌感染のようなパターンをみせますので、抗菌薬(抗生物質)を処方されることがありますが、通常効果は見られません。
ただし、症候群ですので、下記のような症状がそろえば診断がつきます。
診断基準は、
- 規則的に反復する発熱が 5 歳以前に出現
- 上気道感染症がなく,以下のうち少なくとも一つを伴って全身症状がみられる.
- アフタ性口内炎
- 頚部リンパ節炎
- 咽頭炎
- 周期性好中球減少症が除外できる
- エピソード間欠期は完全に症状を欠く
- 成長,発達は正常
となっています。
はじめて相談に来られた場合、周期を確認する必要があるので、診断までに早くても3ヶ月ほどかかる場合があります。
上記のような条件を満たして、「ほぼ確定」という状態になったら、次の「治療」の項目でお示しするある治療を試してみます。
その治療に反応し熱がスッと下がったら、この診断がほぼ確定します👌
治療は?
治療には「発作治療」と「発症予防」の2つがあります。
【発作治療】
- 副腎皮質ステロイド(プレドニン)を内服すると、劇的に熱がさがるケースが多いです。
- ただし、内服のタイミングによっては再発熱したり、次の発作までの周期が短くなったりすることもあります。
- 全員に効果があるというわけでもないので、効かない場合は別の病気の可能性があります。
【発症予防】
- シメチジン・ファモチジンなどの抗ヒスタミン薬(H2ブロッカー)を内服すると、発作周期が長くなる場合がありますが、全員に効くわけではありません。
- コルヒチン(リウマチなどに使用する抗炎症薬)が効く症例もあるとの報告があります。
【その他】
- 上記のような治療に無反応だったり、効果が不十分な場合は、扁桃(いわゆる扁桃腺)を外科的に取り除く手術をすると熱が出なくなるケースがあります。これも全例ではありません。
ホームケアのポイント
診断がついて治療がハマると、かなり日常生活がラクになります👌
発作の出方が読めてきて、お薬(ステロイド)の使い方に慣れてくると、比較的コントロールがよくなります。
内服治療では根治する病気ではありませんが、通常は年齢が上がるにつれ、徐々に発熱発作の間隔が広がっていき、10代になると熱を出さなくなって(出ても周期が長くなりすぎてPFAPAかどうか判別できなくなくなる)自然に治癒していきます。
いかがでしょう?不思議な病気ですよね。
ただ、原因は分からないながらも、治療は割と確立している病気なので、まずはこの病気の存在を知って、疑ってみることが大事です。
もし繰り返す発熱に悩んでいて、「うちの子、コレかも」と思ったら、これまでの発熱歴や受診歴など経過がわかるものをできるだけ用意して、小児科医に相談してくださいね😉
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