大人になるまでに全員がかかる感染症の代表選手です。
人生初めての発熱が突発性発疹だったというケースも多いですね。
小さなお子さんで高熱が3日ほど続くので、ママ・パパはとても心配されます。
今日はそんな小児特有の感染症「突発性発疹」について学んでいきましょう!
どんな病気?
原因ウイルスはヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)とヒトヘルペスウイルス(HHV-7)です。
0歳〜1歳の間に99%のコドモがかかるという「赤ちゃんの病気」です。
最も多い年齢は、ママのお腹の中で貰っていた抗体がなくなる6ヶ月ごろから、1歳半くらいまでです。
38℃以上の高熱が3日間ほど続いた後、解熱と共に鮮紅色(明るい赤)のブツブツが顔〜体幹に出現します。
HHV-6の単独感染では、症状はほぼ発熱と発疹のみで、咳や鼻水など他の症状はほとんど見られません。またこの発疹は通常痒みは伴わず、数日で跡形もなく綺麗に消えます。
(それらがあれば、別の風邪によるものか、HHV-6との混合感染の可能性が高いです)
教科書にはあまり書いていないのですが、解熱して発疹が出る頃に不機嫌がみられることがあります。
ママ・パパはよく「何が原因かわからないけど、ものすごく機嫌が悪い」と表現されますね。ずっと抱っこしていないといけないので、とても苦労されます。
この不機嫌の原因は詳しくはわかっていません。
発疹が出ている時期に不機嫌になるので「痒いのかな?」と思う方も多いようですが、発疹を掻きむしったりする仕草は通常見られないため、痒みが原因ではなさそうです。
発疹が出るメカニズムもよくわかっていませんが、発疹を引き起こす炎症性のサイトカインが中枢神経に作用し、イライラさせるのではないかという説もあります。
どうやって診断するの?
高熱が続いて、解熱して下の写真のような発疹が出た段階で診断が確定します。
特殊な場合を除いては、血液検査やPCR検査などで診断する疾患ではありません。
熱が出ている最中に、ノドに特徴的な変化(永山斑)が見られることがあり、それを見つけられた場合は発疹が出る前に「突発性発疹かも」と予測できることはあります。
ただ、突発性発疹という名前ですが、発疹が出ないケースが20〜40%あると言われています。
「うちの子、突発性発疹してないのよ〜」というような話を時々耳にしますが、HHV-6にかからない人はいないので、「かかってたけど発疹が出なかった」ということなんです。
治療は?
特別な治療はありません。
高熱が続いて辛そうな時は解熱剤などを使用します。
いわゆる「対症療法」というものですね。
ホームケアのポイント
「高熱のわりに全身状態は比較的良好」というのが特徴ですので、食べる・寝る・遊ぶという赤ちゃんの基本動作がちゃんと出来ていれば、過度に心配する必要はありません。
ただし体温が上昇すると水分の必要量は増えますので、脱水状態になっていないかは注意が必要です。
- オシッコの色が濃くなっていないか
- 1日に3〜4回はオシッコが出ているか
- 唇が乾燥していないか
- 泣いた時にちゃんと涙が出ているか
といったポイントを確認し、水分をこまめに与えるようにしましょう。
また、突発性発疹症は高熱が出る病気ですので、熱性痙攣を起こすことがあります。
痙攣が起きたら、まずは始まった時刻を確認しましょう。熱性痙攣は持続時間によって治療が変わってくるからです。
熱性痙攣はほとんどが5分以内で自然に止まるのですが、初めて経験する時は恐怖と不安でいっぱいになります。そのような時は救急車を要請しましょう。
熱が下がって機嫌が回復すれば、保育園に行ってもOK。
ただし、ワクチン接種は突発性発疹症から回復してから通常2週間程度あけた方が良いとされています。
いかがでしたでしょうか?
小さな赤ちゃんに高熱が持続するので、「脳は大丈夫ですか?」などと心配の声が寄せられますが、痙攣を起こしたり脳症を起こしたりしなければ、基本的には後遺症などは残さず治ります。
慌てず対応しましょうね。
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