伝染性軟属腫(水いぼ)

皮膚科
ケイジ理事長
ケイジ理事長

コドモによくあるブツブツシリーズです。

小児科的には日常にありふれた病気ではありますが、

  • 「ふつうのイボとどうちがうの?」
  • 「感染力は強いの?」
  • 「プールは入ったらダメなの?」

などのご質問をたくさんいただく病気です。

今日は一気に解決しちゃいましょ〜!

どんな病気?

ポックスウイルス(pox virus)科に属する伝染性軟属腫ウイルス(molluscum contagiosum virus)に感染することにより発症します。

1~7歳の幼小児に起こりやすいとされています。

皮膚に接種感染して発症するまでの潜伏期間が14~50日程度あります。

水いぼの原因ウイルスは感染性が高く、皮膚との直接の接触(例えばレスリング)や感染者が触れたタオルやスポンジなどの物を介して伝染します。

通常は痒みはありませんが、元々アトピー性皮膚炎や乾燥肌など痒みがある部位に水いぼができると、かきむしって他の部位にも水いぼのウイルスが感染し、広がっていきます。

どうやって診断するの?

見た目で診断します。

典型的なものは表面がツルツルして、みずみずしい光沢のある直径数mmから5mmくらいの小さな皮膚の盛り上がりで、頂上が少しへこんでいるのが特徴です。

(写真:日本皮膚科学会HPより)

「普通のイボ」とどう違うの?

普通のいぼは正式名称を「尋常性疣贅」といいますが、「尋常性」=「普通の」、「疣贅」=「イボ」でという意味であり、「普通のイボ」をそれらしく表現しただけです。

名前は似ていますが、イボの形はかなり違います。

(写真:日本皮膚科学会HPより)

水いぼはポックスウイルス科のウイルスであるのに対し、普通のイボはヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス:HPV)が原因となります。

どちらかと言うと、子宮頸癌を起こすウイルスの仲間です(HPVには型が色々あるので、普通のいぼからは子宮頸癌にはなりません)。

発生する部位に関しては、イボが手のひらや足の裏を含む手足にできることが多いのに対し、水いぼが身体にできることが多いという違いがあります。通常水いぼは手のひらや足の裏にはできません。

治療は?

治療に関しては「取るべき」か「取らざるべき」か、専門家の間でも意見の別れるところです。

水いぼは、取らずにおいても大半のものは半年~2年で自然に消えます。

ミズイボが自然に治ることも多い病気であることから、時間は少しかかっても飲み薬などを用いた痛みの少ない方法で治療すべきだと言う考えや、放っておいてもよいと言う考えの先生も多いのが実情です。

「取る」場合は、先の小さなピンセットやリングピンセットなどで水いぼをつまむと、てっぺんの凹んだ部分から小さな白い塊が出てきます。これが最も簡単で一般的な治療法です。

普通のイボと同じように冷凍凝固療法を行うこともあります。

いずれも有効な治療法なのですが、多くはコドモである患者さんに、痛みや精神的苦痛を強いる治療法であることが欠点です。

ピンセットで取る前に、麻酔のテープやクリームを使用して痛みを和らげるような前処置をしてくれる医療機関も増えています(テープやクリームは保険が効かないので自費です)。ただ、痛みはゼロになるわけではないので、あくまで「やわらげる程度」と考えておいた方が良いでしょう。

一方「取らない」場合は、単に放置する方法と、飲み薬を試してみる方法があります。

飲み薬としてはヨクイニンという漢方薬が有効とされています。ヨクイニンはハトムギから作る生薬で漢方薬として市販されています。肌に栄養を与えて、角層の新陳代謝を促す働きがあり、いぼ取りや肌を滑らかにする効果があるとされています。

ただ、医学的に効果を検討された論文は30年以上前のものしかありません。

論文によると、1日6gのヨクイニンを続けると平均57.1±34.6日で水いぼが消退するとされています。おおむね2〜3ヶ月続けると考えるとよいでしょう。

ハトムギが原料なので副作用はほとんど無く、味は少し甘味があるので嫌がらないお子さんも多いですが、量が多くて長期間続ける必要があるので小さなお子さんでは難しいケースもあります。

治療にはそれぞれメリットとデメリットがありますので、かかりつけ医とよく相談してみましょう。

ホームケアのポイント

上にも書きましたが、水いぼは基本的に放っておいても治る病気ですが、乾燥肌やアトピー性皮膚炎がコントロールされていないと掻きむしって範囲を拡げてしまう可能性があります。

日頃のスキンケアが重要だと言うことですね。

また、夏が近づいてくると度々お問い合わせいただくようになるのが、

「水いぼがあるとプールに入れてもらえないと園から言われたんですが、、、」

というご相談です。

これに関しては、皮膚科関連の3つの学会が下記のような統一見解を出しています↓

もし園から「水いぼはプールNG」と言われたら、上のPDFを印刷して園と相談してみても良いかもしれません。

ただし最終的にプールに入って良いかどうかは園が判断することですので、そこはご了承ください。

ケイジ理事長
ケイジ理事長

いかがでしたでしょうか?

知っているようで意外と知らない「水いぼ」。

単につまんで取ってしまえば良いというものでもなく、それぞれの事情にあったケアがあります。

かかりつけの先生とよく相談して、お子さん本人にとって最も最適な治療を選んであげましょうね。

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