先日アデノウイルス全般について解説しましたが、今日はその代表選手、アデノウイルス咽頭炎について解説したいと思います。
小児科のバイブル「ネルソン小児化学」によると、のど風邪全体の15%程度はアデノウイルスによるものとされているほど、ありふれた感染症です。
高熱が続くことがあるので、共働きのご家庭にはなかなか辛い病気ですね。
どんな病気?
簡単に言えば、アデノウイルスによる「のど風邪」です。
のどだけでなく、目も充血してくると咽頭結膜熱(プール熱)といいます。
ただし、アデノウイルス総論でも解説しましたが、咽頭炎・扁桃炎を起こすアデノウイルスと、咽頭結膜熱を起こすウイルスは若干異なります。
また、アデノウイルスというと謎の急性肝炎を心配されることもありますが、あちらは胃腸炎などを起こすF種という別のタイプのアデノウイルスですので、過度な心配は無用です。
アデノウイルス咽頭炎・扁桃炎の主な症状は発熱と咽頭痛です。
鼻水もでることがありますが、あまりひどくなることは多くありません。
基本、発熱と咽頭痛です。(咽頭痛は溶連菌やヘルパンギーナほどではないようですが)
潜伏期は2〜14日と非常に幅があります(参照:Redbook)が、日々の診療の中でお話しを聞いていると4〜7日程度が多いように感じます。
特に流行る季節というものは特別なく、年中発生しうる感染症です。
感染してしばらくすると突然の高熱がみられます
そして、その高熱が3〜5日程度続きます。咽頭痛のピークは3日ほどです。
どうやって診断するの?
アデノウイルス総論でも解説しましたが、イムノクロマト法という検査法で検出します。
下の写真のような検査キットですね。
のどを綿棒で擦って、試薬に浮遊させてキットに滴下すると5〜10分で結果がでます。
上の写真でいうと、真ん中の小窓にCとTという文字がありますが、Cはコントロール、Tは検体(Test)の略で、Tにラインが出ると陽性という判定になります。
治療は?
残念ながらアデノウイルスをやっつけるお薬というのはありません。
「対症療法」と言って、熱や咽頭痛などを和らげてあげるお薬などを処方します。
熱で食欲が落ちたり、咽頭痛で飲んだり食べたりできず、脱水を起こしている場合などは点滴で水分補給をすることもあります。これも広い意味での対症療法ですね。
ホームケアのポイント
アデノウイルスによる咽頭炎と診断がつけば、あとは時間が解決してくれます。
アデノウイルス咽頭炎は、高い熱が数日続くことがあるのですが、「熱の割には元気」というケースが多いです。
熱の高さにはビックリしますが、「食べる・寝る・遊ぶ」が出来ていて全身状態が良ければ、ご自宅で安静に過ごしていて大丈夫です。
もし熱や咽頭痛以外の症状が出てきた場合は、かかりつけ医を受診するようにしましょう。
なお、アデノウイルス感染症は登園・登校が停止になる病気です。
「解熱後2日を経過すれば登園して良い」となっていますが、ちょっと法律の規定は難しいですよね。
簡単に言い換えると、
「朝から晩まで丸一日熱がない日が2日間あれば、3日目から登園OK」
ということになります。
登園許可証が必要になりますが、あまり早く受診しすぎると「まだ下がったばかりなので書けません」とはじかれてしまう可能性があります。
熱がない日の2日目(丸一日熱がなかった次の日)に受診するようにすれば、3日目からの登園許可証を書いてもらえます。このタイミングの方がスムーズですね。
いかがでしたでしょうか?
熱が続いて心配な病気ですが、コドモは誰しも通る道(感染症)です。
病気を知って、ケアを知れば、それほど恐れることはありません。
アデノはちょっと増えてきているので、お友達などで罹っちゃった方がいたら、ぜひこのブログを教えてあげてくださいね〜。
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