最近では保育園での衛生対策により随分減ってきましたが、それでも時々は保育園や幼稚園で集団発生します。
コドモが「頭がかゆい」と言い出して、頭を見たらフケのような白い塊がたくさんあった。
そんなことがあったらぜひこの記事をご参考にしてください。
どんな病気?
一般的には「シラミ」と呼ばれますが、人に寄生するシラミには、アタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミの3種類があり、コドモの頭に寄生するのはアタマジラミです。
基本的に、重大な病気を引き起こす寄生虫ではありませんが、頭皮に噛みつき吸血するため痒みが生じます。
また、増殖力が強いので、適切な対処をしないとあっという間に保育園・幼稚園に広がってしまいます。
コドモが貰って帰ってくると、高い確率で家族にも広がるので、ママ・パパにとってもストレスの大きい状況になります。
アタマジラミの生態
アタマジラミは成虫の体長が2〜4mm程で、全体は灰白色を呈し、血液が消化管内にある場合は、その部分が黒っぽく見えます。
口は吸血しやすい構造になっており、幼虫から成虫までヒトから吸血します。
3対の脚末端には発達した爪が各1本あります。ノミ類のように跳んだり跳ねたりしないので、離れた人に飛び移ることはありません。
卵の大きさはは0.5mmほどで白色をしています。
卵は頭髪にしっかりと付着しており、軽く引っ張ったくらいでは外れません。
こんな感じ↓
約1週間で孵化し、吸血を繰り返して3回脱皮後、約2週間で成虫になります。
産卵数は1日当たり約3〜4個で、合計1カ月に100個ほど産卵します。
増えてくるとこんな感じに↓
なんか写真見てると頭が痒い気がしてきますね(汗)
これだけ増殖力が強いのですが、エサは成虫・幼虫ともに人の血液限定ですので、頭髪を離れて、吸血できなくなると3日ほどで死んでしまいます。
どうやってうつる?
コドモにアタマジラミがいると、布団や枕の共有したり、バスタオルを他の人と使いまわしたり、ヘアブラシ等の共同使用したりすることによってお友達や家族の頭にうつります。
幼稚園や保育園で時々集団発生するのはこういった経路があるからですね。
どんな症状?
シラミ症の主要症状は頭皮の激しい掻痒感です。
1〜2匹の幼虫または成虫が寄生し始めた段階では、ほとんど掻痒感を伴いませんが、3〜4週間経過して個体数が増加してきた頃に激しい痒みに襲われます。
どうやって診断するの?
上述したように、痒みで受診するころには卵や成虫がかなり増えているので、それを肉眼で確認することで比較的容易に診断できます。
一般の方が見て紛らわしいのが、フケや、ヘアキャストという毛根部のフケがリング状に剥がれたもの等ですが、区別するには手で摘んでみると良いです。
卵はかなり強力に付着しており簡単には取れませんが、フケやヘアキャストは簡単に除去できます。
治療は?
痒みの原因はシラミが吸血する時に注入する微量の唾液に対するアレルギー反応と考えられています。
なので、かゆみが強い場合には治療としてステロイドや抗ヒスタミンの軟膏(ローション)などを処方します。
逆に、アタマジラミを見つけたからといって、痒みなどの症状がなければ必ずしも医療機関を受診する必要はありません。
「え?じゃあ卵と虫はどうするの?」という声が聞こえてきそうですが、実は卵や虫の対策は保険が使える薬というのはありません。
痒みなどがなければ、下記のホームケアを行なっていただきます。
ホームケア①毎日細かいクシでとく
目の細かいクシで髪をすくことで、ある程度成虫・幼虫・卵を物理的に取り除くことができます。すき櫛があるとより効果的でしょう。
普通にお部屋ですると成虫が周囲に飛び散る可能性がありますので、お風呂ですると後片付けが楽ですね。
その流れで、次にしめす「洗髪」もしてしまいましょう。
ホームケア②毎日の洗髪
洗髪をしっかりすることで、アタマジラミの成虫や幼虫はある程度洗い流すことができます。
卵は髪の毛にしっかりくっついているので洗髪で除去はできませんが、1週間ぐらいで孵化しますので、洗髪を毎日しっかり行うことで孵化してきた幼虫を洗い流すことができます。
ただし、コドモだけに洗髪を任せると不十分になりがちなので、しっかりと大人が洗ってあげるようにしましょう。
ホームケア③身の回りのもの
家族にうつさないために、クシ・タオル・帽子・マフラー・衣類・寝具などは別々にしましょう。
衣類やシーツ、タオルなどには成虫が残っている場合がありますので、洗えるものは毎日洗うようにし、洗えないものは1週間ほどビニール袋に入れて放置しておけば死んでしまいます。
ホームケア④シラミ駆除医薬品
有名な薬として「スミスリンシャンプー」というものがあります。
これ、実は健康保険の適応ではありません。
つまり医療機関で健康保険を使って処方されるお薬ではないんです。
ですので、ドラッグストアなどで自費で購入していただかないといけません。
実勢価格は2〜3000円程度でしょうか。
この薬、成虫や幼虫を殺すお薬ですが、卵には効きません。
ですので、卵から幼虫が出てくるタイミングで何度か繰り返し使って駆虫する必要があります。
まずは写真の下部にある緑色のクシで物理的に卵や虫を取れるだけとります。
その後、
イメージはこんな感じ↓
孵化して卵を産む成虫になるまで7~10日間あるので、その間に孵化してきた奴らを定期的に殺虫するんですね。
ただし、最近スミスリンの効果がないタイプのシラミが報告されており、必ずしも除去できるわけではありません。
いかがでしたでしょうか?
痒みがなければ、基本的なケアはご自宅でしていただくことになります。
ただ、本当にアタマジラミかどうか迷ったり、痒みが出てきている場合には医療機関への受診をお勧めします。
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