なんだか変わった名前のウイルスが出てきましたね。
でも新種のウイルスでもなんでもなく、ありふれた風邪の原因ウイルスの1種です。
他の風邪ウイルスに比べると咳が酷くなったり、長引いたりする傾向があります。
小児科で「ヒトメタニューモウイルスですね」と言われて、頭がハテナでいっぱいにならないように、しっかり勉強していきましょう!
どんな病気?
風邪、気管支炎、肺炎などの呼吸器感染症をひきおこすウイルスの一種です。
このウイルスは2001年にオランダで発見されましたが、すでに50年以上も前から呼吸器感染症の原因として存在していたことが報告されています。
電子顕微鏡画像はこんな感じ↓
RSウイルス(RSV)に似た症状を引き起こすウイルスですが、RSVが乳幼児に多いのに対し、hMPVは1~3歳の幼児の間で流行することが多いとされており、大人にも感染します。
小児の呼吸器感染症の5~10%、大人の呼吸器感染症の2~4%は、ヒトメタニューモウイルスが原因だと考えられています。とくに乳幼児や高齢者では重症化することもあり、注意が必要です。
コロナ禍に入る前までは、例年2月〜6月ごろに流行のピークがありました。
コロナウイルスに対する感染対策により、いったん激減しましたが、2022年夏から再び増加に転じつつあります。
どんな症状?
長引く咳(通常1週間程度)と、発熱(微熱も含めて4〜5日程度)が主症状です。
悪化すると喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)が強くなり、呼吸が苦しくなることもあります。
このウイルスは1回罹っても、その後何度か感染を繰り返します。
年齢が上がるにつれて何度か感染することで免疫がついてきて、症状が軽くなる傾向にあります。
どうやって診断するの?
鼻水を綿棒で採取して、抗原キット(イムノクロマト法)に液を流して検査します。
ただし、この検査は全員が健康保険で検査できるわけではなく、6歳未満という制限があります。
治療は?
基本は対症療法です。このウイルスに効く特効薬はありません。
咳や鼻水が辛い時は、医療機関を受診し咳止めや痰切りなど症状を和らげてあげるお薬を貰います。診察の結果、必要に応じて鼻水吸引やネブライザ吸入などをすることがあります。
ゼーゼー・ヒューヒューが強くて息苦しい場合は入院による治療が必要になるケースもありますので、もらったお薬を飲んでいても症状が悪化する場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
ホームケアのポイント
咳や鼻水などの症状が軽ければ、自宅で経過を観察することも可能です。水分をしっかりと摂り、暖かくしてゆっくり休みましょう。
熱が高くて辛そうなときは、解熱剤を使用して構いません。
多くは「風邪」程度の症状で自然治癒に向かいますが、そのときの体力や免疫状態によっては悪化することもあります。
「食べる」「寝る」「遊ぶ」という基本動作がスムーズにできていればあまり心配ありませんが、咳やゼーゼーが酷くなって、食べたり寝たりがしにくくなってきたら、受診が必要です。
特に気管支炎などに進むと夜間に咳やゼーゼーが強くなるので、眠れないほどの状態になった場合は救急受診が必要です。
保育園・幼稚園などに関しては、登園停止になる病気ではありませんので、熱が下がって、強い咳が治れば登園可能です。
いかがでしたでしょうか。
変わった名前ですが、基本的には風邪のウイルスと考えてよいでしょう。
全身状態・呼吸状態を見ながら、悪化してきたら受診するようにしましょう。
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